“空想とよろこびの食卓”で伝えたかったことは心の豊かさに目を向ける大切さ。
展覧会に来てくれた人、写真集を買ってくれた人の中にあなたは何て良い生活をしているんだと言う人もいた。
けれどそれは違う。
モチーフは全て父の遺品、買い足したものは撮影用のお皿3枚だけ。
ボロボロになった部屋を改装したアトリエと、ポリエステルの安いテーブルクロスにアトリエの丸テーブルだけで私の心の中を撮影した。
ここはどこですか?ヨーロッパですか。と聞く人もいた。
料理も生協で買った食材、自分で作ったもの以外は撮影していない。
ファインダーの中だけは私の空想の世界であってどこでもない自由な国。
本当の豊かさとは?
物質的な豊かさではなく、心の豊かさだと私は答えたい。
物質的な豊かさには終わりがない。
人と比べ、常に追われて自分の心を掻き乱される。
けれど心に豊かさを持つ者は誰にも掻き乱されることがなくいつだって自由なのだ。