花とわたし


どうもブーケは自分の体質、思想にそぐわない。

何度かブーケを作って撮影してきたけれど、
完成する形、色彩を重視するあまりに花のもともとの美しさをそいでしまうような気がしてしまう。

葉を取り除くこと、まっすぐに伸びた茎や曲がった個性的なかたちを花瓶の中に入れること、
束ねること、花首だけを主役にしてしまうこと、花と花との間に余韻を思わせる空間がないこと...
それが私の感覚とはずれてしまう。

花は多ければ多いだけ華やかだし、ブーケが人を喜ばすことも事実、実際私も贈られるととてもうれしい。

けれど自分が作るにあたっては、
ブーケは装飾的な美が前に出てしまい、
花1本の何とも言えない可憐で無垢な魅力と
花そのものが持つ生命力が薄れてしまうと感じる。
そしてあまりに人間が手を出しすぎること、
人間の手でこしらえすぎること、そこに違和感を感じてしまった。
花という自然がおのずと語ること
それを残しておく、
それが自分の目指すものだと感じる。

ブーケのかたちに執着するあまり必要以上の花を切ってしまった経験はあまりに悲しかった。

花は人に喜びを与える人に一番身近なもの、私はこのかけがえのない友人がなにを語るのか耳を傾けたい。