朝日と髑髏

あのとき私のアイコンは罪と罰のラスコーリニコフだった。

ヴェネチアの夜からインスパイアされたむせるようなシャネルの香水と
真紅の口紅ガブリエル。
髑髏は私の永遠のモチーフで
真っ黒なマックイーンのスカーフをいつもお守りのように首から下げ
漆黒の闇を朝から晩まで描き続けた。
気がついたときには座ることもできなくなっていた。

ふとした瞬間、
自然の美に触れると
自分が助かった日のことを思い出す。

今はすべてのはじまりである朝日と
ひらいたばかりの澄みきった清浄な花の香りが私に寄り添う。

これから私は何を感じ、何をつくっていくのか。
“一筋の光だけを見つめなさい”と言われたあの日をまた想う。